むかし、むかし・・・・
むかし、むかしある所に神様がいました。
神様はあたたかい国を探して舟に乗り、ある島に着きました。
島に着いた神様は、丘にのぼりました。
その島は緑が生い茂り、動物たちもたくさん住んでいる自然にあふれた、たいへん素晴らしいところでした。
「ああ、なんと美しい島だろう すばらしい眺めだ」
神様はその島がたいへん気に入ったので、しばらく住む事にしました。そして神様は、大きな木を住むところにえらびました。
ところが、この島には大きなあまのじゃくが住んでいて、さっきの神様の話を聞いて、あとをつけて来ました。
反対のことをしたがるあまのじゃくは
「よし、あの山をくずしてやろう!」と思いました。
夜になるとあまのじゃくは、大きなもっこをかついで山をくずし始めました。
途中までくずしたところで、朝がきて明るくなってくるとあまのじゃくは、もっこをなげだして隠れてしまいました。
朝起きた神様が外を眺めると、山のあたまがすっかり削られてむざんな姿になっていました。
怒った神様は山のふもとへ歩いて行きました。
山に近づくにつれて、大きないびきが聞こえてくるので、山に登ってみると、あまのじゃくが酒をのんで大きないびきをかいて寝ていました。
どうやら、あまのじゃくのいびきが山にひびいて、山がふんかをしてしまったようでした。
あまのじゃくは、そのいきおいで空高く飛ばされてしまいました。
こうして出来たのが、いまの箱根です。
あまのじゃくがくずした山が富士山で、海に捨てた土は伊豆七島に、あしあとは湖(芦ノ湖)に、もっこはふたご山に、神様が住んだ山は神山という地名で今でも残っています。
むかし、むかし、人が住むずっとむかしのおはなしでした。